Urbans ,LLC / アーバンズ合同会社

第十五回「文章をひらがなで書こう」

文章を書くというのはたいへんむずかしいものですよね。

現代では、Twitterなどの普及により、

歴史上もっとも文章を書いている時代だという人もいますが、

良い文章を書けるようになったかといわれると、

ためらう人のほうが多いのではないでしょうか。

かくいうわたしも、文章を書くのが得意だとはいえませんが、

今日はわたしが知っている唯一の文章を書くコツを

お教えしたいとおもいます。

ここまで読んでみて、気づいている人もいるかもしれませんね。

それは、「できるだけひらがなで書く」ことです。

その理由はいくつかあります。

ひとつには、

漢字のような重苦しい印象をあたえないのでよみやすいこと。

さらに、

ひらがなをつかう文章はしぜんとわかりやすい文章になるからです。

それは、基本的にひらがなをつかっていい言葉が、

日本にふるくからある「やまとことば」だからです。

つまり日常的につかっていることばだから、わかりやすいのですね。

そもそも日本には、文字がありませんでした。

中国から漢字が伝わってようやく文字を手に入れたのです。

しかし、漢字だけしかない状態というのは、

日本語を文章にあらわすとき、

わざわざ漢文になおさなければならないことを意味しています。

それでは不便だということで、

日本語(やまとことば)にいわゆる「当て字」を使うようになりました。

「夜露死苦」みたいなものですね。

その当て字は「万葉かな」とよばれていたのですが、

当て字と漢字そのものを区別するために万葉かなの漢字を

崩して書くようにしました。

その結果、現在のひらがながうまれたのです。

だから、基本的には訓読みでつかう漢字は

ひらがなで書くほうがわかりやすい文章になります。

実は、このような書き方は

明治以後の国字改革運動のなかでうまれてきました。

日本語をローマ字で書くべきだという論から、

カタカナだけで書くべきという論などさまざまな論があり、

有名な学者から一万人ものも庶民をふくむ、

おおきな運動となったのです。

そしてひとつのおちついた書き方が、

今回ご紹介しているやまとことばをひらがなで書く

「訓読み廃止論」なのです。

ただし、ひらがなと言っても、

同音異義語などの書き分けができないというデメリットもあります。

それでも、ひらがなには日本人のやわらかな印象があることと、

日本語を学ぶ外国人への漢字というハードルを

ある程度さげるという意味でも、

わるくはない書きかただとわたしはおもいます。

わたしの文章にはひらがなが多いのはなぜかという質問をうけて、

今回は書かせていただきました。

わたし自身、試行錯誤しており、

まだ自分のものにはなってはいませんが、

このような意図でひらがなをつかっているのだなと

ご理解いただけるとたすかります。