Urbans ,LLC / アーバンズ合同会社

第十三回「CEOの『源氏日記』批判――ITは革命か?」

つい先ほど、

弊社のCEOである柳堀のブログ『源氏日記』を

なにげなく見ていたところ、ある記事が目につきました。

それは2016年3月20日の「29歳」の記事なのですが、

そこに「インターネットという産業革命」という文章がありました。

ああ、これはCKOとして言わなければならない。

「インターネットは産業革命ではない」ということを!

というわけで今回は、

CEOに向けてインターネットと産業革命について

書いていきたいと思います(笑)。

まず、「産業革命」という言葉ですが、

そもそもこの訳語が誤解を招いていると思われます。

英語では”Industrial Revolution”で、

正しくは「工業革命」です。

それ以前までは、

歴史上の生産における革命は「農業革命」だけでした。

農耕の開始により人類が文明社会へと進んだことを考えると、

狩猟生活から「革命」があったことはうなずけることだと思います。

それから長いあいだ生産における革命はありませんでした。

そして18世紀に入ると、

アイルランド人が次々と紡績に使える「機械」を発明しだしました。

機械とは道具と違い、動力源、つまりエンジンがあるものです。

機械の誕生は大規模工場を作ることを可能にし、

商品を大量生産することができるようになりました。

そうなると、自給自足の世の中から、会社に雇われて、

商品を作って賃金をもらい、

生活用品を商品として購入するという

商品中心の社会となっていきます。

つまり工業が出来上がる以前と生活が全く変わってしまったのです。

ゆえに「革命」とつきました。

工業によるもので、産業全般の話ではないところがポイントですね。

さて、それでは

インターネットは人類史において「革命」と言えるのでしょうか?

じつは革命だという人もいます。

有名な人ではアルヴィン・トフラーです。

彼は『第三の波』という著書で、

インターネットそのものではないが、

情報が重要の世の中になったとして、

現代を情報革命の時代であると名づけました。

つまり柳堀は「インターネットは情報革命だ」というのならば

正しかったのですね。

ただし、もしこう書いたとしても、

私は面倒な男なのでやっぱり噛み付いたことでしょう(笑)。

というのも、

インターネットはほんとうに革命だったのかという疑問もあるからです。

トフラーは第三の波として情報技術を見ていましたが、

はたして

工業革命以後の社会から革命的に生活は変わったのでしょうか。

たしかに情報技術はグローバル化を推し進め、

ダニエル・ベルの言うとおり「脱工業化社会」となったと思います。

つまりサーヴィス業の時代ですね。

現在日本のサーヴィス業の割合はGDPの7割です。

もう工業の時代ではありません。

けれども、いぜんとして我々は賃金をもらって生活をしています。

いわゆる資本主義の社会のままです。

そのように考えると、第三の波とは農業革命、

工業革命につづく革命の波ではなく、

軽工業、重工業につづく

工業革命のなかの一つの波に過ぎなかった

とも言えるのではないでしょうか。

じつは、このような大きな視点で現代を考えるときに、

気をつけなければならないことがあります。

それは「クロノセントリズム(Chronocentrism)」です。

これは自分が生きている時代が

特別な時代だと思い込みがちであることを言います。

技術としての情報の進歩は「IT革命」と呼ばれていますが、

これについては門外漢ではありますが理解できます。

しかし、人類史として眺めたとき、

1000年後の人が

この時代を「情報革命」として呼んでくれるでしょうか。

情報に振り回されずにうまく活用するためにも、

思考を相対化し、本質を見抜く目を養っていきたいものですね。

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